旅レポート:ストラスブール

ストラスブール

2022年12月ストラスブール

Image 1 of 4

Strasbourg Christmas Market 背後の建物はストラスブール大聖堂

12月にフランクフルトを旅するなら、小旅行先としてストラスブールは最高の選択。

フランクフルトからストラスブールの移動は大変だった。それにも関わらず、ストラスブール行きを選んで正解だったと思う。交通アクセスは必ずしも便利ではないが、12月にフランクフルトへ旅するなら、近隣の小旅行先としてストラスブールが良い。

ドイツの近くに位置するが、ストラスブールはフランスだと感じた場面

​フランスのストラスブールは歴史の中でドイツに組み込まれたこともある。私の頭の中では勝手にドイツっぽいところと位置づけていたのだが、実際に行ってみると、そこには確かにドイツっぽいものはあったのだが、人間はむしろフランス的だと思った。

​大都市のフランクフルトと小都市のストラスブールを比べるのは間違っているかもしれないが、ストラスブールの人々の方が積極的にコミュニケーションを図ろうとする。ちょっとラテン的な雰囲気さえ感じた。クリスマスマーケットからはお客さんに向かって「ヴァン・ショー!ショコラ・ショー!」(ホットワイン!ホットチョコレート!)と明るく宣伝。試食用サンプルを次々紹介する。オマケまで入れてくれた店主もいた。

​ホテルの受付もやたらと明るい。元気な女性がフランス語なまりの英語で対応。チェックインに並んでいる人がいるのに、「マダム・スズキ!あなたのお部屋にワタシが案内しますわ!」と、さささっと食堂を突き抜けた向こうにある部屋まで私を案内。え?こんな位置の部屋なの?と思ったが、問題なく快適だった。カーテンを開けた向こうには氷点下でも外で眠る路上生活者がいて、複雑な気持ちにはなったのだが。

​ホテルの受付にはホットワインが入った大きなポットとお菓子が常備されていた。外から戻った私が「寒い!ホットワインを飲むわ!」と言うと、例の受付の女性は「ワタシが入れてあげるわ!」とサービス精神旺盛。

​フランクフルトへ戻る日、朝の電車に合わせて早くホテルを出ることにしていたのだが、雪がちらつく中で駅まで徒歩で向かうのは諦めた。急遽トラムの乗り方を調べて最寄りのトラム駅に向かった。チケットを買ったのだが打刻機らしきものが見当たらない。ICカードの読み取り機のようなものが1つ。キョロキョロしていたら、近くにいた男性が「これだよ」と読み取り機を指して教えてくれた。切符を当てると「ピ」と音がした。これで良かったのね。ついでなので、男性に「中央駅へは、こっち側でいいのですよね?」と、一部ドイツ語になってしまった変なフランス語で訊ねたら、わざわざ他の客に確認して、こっちで良いよ、2種類あるけどどっちでもOKだよ、と教えてくれた。

​こういったことは、そもそも大都市フランクフルトより小都市ストラスブールの方が私のような一人でうろつくアジア人が少ないから、目立つということもあるのだろう。困っている旅人を助けるというヨーロッパ的博愛精神ということかな。

​ストラスブールの歌劇場では階段を昇るたびに係員が私のところに飛んできてチケットに記載された座席を確認する。座席近くの扉の外にコート掛けがある。1つずつ座席番号が付けられている。係員はまず私をコート掛けに案内。私がコートを掛け終わったら、待ってましたという感じ再び近づいてきて、張り切って座席まで案内。終始フランス語だったが、全然悪い感じはしない。

2022年12月ストラスブール

Image 1 of 3

Strasbourg フランス国立ラン歌劇場 「魔笛」 Opéra national du Rhin - Magic Flute

ストラスブールでのオペラ

鑑賞したオペラもまた満足度が高かったので、私のストラスブールの評価を高める要因となっている。今回の旅ではフランクフルトでのオペラ鑑賞をメインのイベントとしていた。もちろんフランクフルトのオペラも良かったのだが、特別に期待していたわけではなかったストラスブールのオペラが面白かったので、本当に行って良かったと思う。

​オペラは好きだけど、オペラを鑑賞するにも事前準備と体力と集中力が必要だ。そこまで必死に毎日オペラを鑑賞する必要はなかったのだが、ストラスブールのオペラも気になっていた。せっかくそこに歌劇場があるのに、公演があるのに、行かないというのはもったいない。

一応チケットを買っておこうかなと思ってフランス国立ラン歌劇場のサイトでアカウントを作ろうとしたら、入力必須の郵便コードがどう工夫して入力してもエラー続きでアカウントを作成できなかった。ダメもとでメールで問い合わせてみたら、速攻アカウントを作成してくれたので、チケットを買った。

​ストラスブール到着時は疲労困憊だったので、そこでもまた「オペラまで行かなくてもいいではないか」と悪魔のささやきが聞こえたのだが、同時に天使が「せっかくここまで来たのに行かないなんて!」と訴える。明るいうちに歌劇場の場所を確認して、一旦ホテルに戻って、刺すように寒い夜に歌劇場まで歩いて行った。(そして「魔笛」の演出がツボにはまって激しく笑ったのだった・・・)

詳細はオペラ鑑賞レポートをご覧ください。

一足でも二足でも足を先に伸ばして冒険することを忘れないようにしたい。

クリスマスマーケット

2022年12月ストラスブール

Image 1 of 2

Strasbourg Christmas Market

12月というのもまたストラスブールを旅先に選ぶ大きな理由となる。ストラスブールのクリスマスマーケットが美しいとどこかで読んだことはあったが、まさかそこに行くチャンスが訪れるとは。そのチャンスを活かさないなんて、将来的に間違いなく後悔するだろう。

​フランクフルトのクリスマスマーケットと異なる点をいくつか挙げよう。1つはホットワインのカップ。ドイツでは街の名前が入った陶器のカップで飲む。カップはデポジット制で、返却時にデポジット代を受け取る。一方、ストラスブールでは主に再利用可能なプラスチックのカップで飲む。カップ代として1ユーロを支払う。このカップは再利用されているのだろうか?デポジットとして返金があるのだろうか?そのような光景は見なかったのだが。よく分からないが、今回は短い滞在だったので、滞在中に飲んだ3杯分の3カップは日本まで持ち帰ってきた。それぞれ柄が違う。私の自宅用(歯磨き用)コップとして再利用することにした。

​フランクフルトで気に入っていたもう一つのホット酒「プンシュ」はストラスブールではまったく見かけなかった。プンシュのファンとしては残念だ。

​一方、フランクフルトでもストラスブールでも共通していたのは、ヨーロッパ中で大人気のチョコクリーム「ヌテラ」がクリスマスマーケットで店舗を構えていること。宣伝に抜かりない。

2022年12月ストラスブール

Image 1 of 1

Strasbourg Christmas Market シェーブル(羊乳チーズ)とトマトのタルト・フランベ Tarte flambée

これはシェーブル(羊乳のチーズ)とトマトの「タルト・フランベ」。バゲットを縦にスライスして具を乗せて焼いたもの。美味しかった。ストラスブールのクリスマスマーケットでは定番だが、フランクフルトでは見なかったと思う。帰国後、自分でも同じようなタルト・フランベを作ってみたが、安物オーブンの火力が弱くてイマイチな出来となってしまった。現地では軽食なのだろうけど、私にとってはボリューム大だった。

レストランとスパイスのパン

ヨーロッパ大好きだけど、行くたびに悩むのは、すべての食事の量が多過ぎること。今回はほとんどクリスマスマーケットで済ませたが、ストラスブールでは寒くなることが予測されたため、暖房の効いた室内で食事をしたい。2つレストランを予約していた。昼に下の写真のお店に行った。

2022年12月ストラスブール

Image 2 of 2

Strasbourg

控えめなメニューを注文したつもりだったのに、満腹で苦しい。クリーム色のソースが掛かっているようにみえるが、魚の右側は確かにシトラス系の爽やかなソースなのだが、魚の左側はポテトピューレ。そしてなぜか添えられたボウルに入っているのもたっぷりのポテトピューレ。ボウルのピューレは遠慮しておいたが、それでも苦しい。

写真では伝わらないかもしれないが、チョコレートムースも巨大。向こうのテーブルのマダムグループは、複数名でつつきながらシェアしていた。現地の人にとってもボリューム大なのかしら。

​このランチの結果として、私が下した決断。

​よし、ディナーをキャンセルしよう。

​別のレストランでアルザス地方料理を食べる予定だったが、もうお腹いっぱいでこれ以上食べる気がしない。トホホ。なんだか悲しいが、仕方ない。旅行の時だけでも胃袋を大きくできるといいな。

2022年12月ストラスブール

Image 1 of 1

Strasbourg - Fortwenger パンデピス(スパイスパン)の名店

ストラスブールで気に入ったものと言えば、これについても言及したい。パンデピス (Pain d’épices) つまりスパイスのパン。ドイツのお気に入りのパン風お菓子「レープクーヘン」に近いと思う。レープクーヘンの場合は、パンデピスのような長方形のパン型のものはなかったと思う。英語圏の「ジンジャーブレッド」に近い。旅行前の下調べの段階で、これはきっと自分好みのパンだと確信。その確信は間違いではなかった。これは好きだ。日持ちするので、いくつか購入して持ち帰った。

​上の写真はパンデピスのメーカー Fortwenger の店舗ショーウインドウで撮ったもの。店舗の他にクリスマスマーケットにも複数のパンデピスメーカーが出店している。

旅のまとめ

以前のように世界中好きなところに自由に旅するのはまだ難しい。しかし、今回の旅先は我ながら最高だったと思う。いつも飛行機の乗り継ぎ地点でしかなかったフランクフルトで珍しい作品を含むオペラを4作品も鑑賞して、久しぶりにクリスマスマーケットを楽しみ、国境を越えてストラスブールへ。10年ぶりにフランスに滞在して、オペラとクリスマスマーケット。音楽旅再スタートに相応しい素晴らしい旅となった。色々あったが、旅を実現できたことに感謝したい。

​旅行記を読んでいただきありがとうございました!