鉄道でフランクフルトからストラスブールまで移動したら・・・

「お待たせ致しました。この電車は1時間20分遅れで出発します。」
あちゃー。やっぱり。恐れていたことが起きてしまった。電車は5分遅れでフランクフルトに到着したのだが、「線路内無断立ち入り」のためすぐには出発できなかった。何度もヨーロッパで鉄道を利用してきた。遅延はよくあるそうだが、これまでの旅ではほとんど問題になったことはなかった。ラッキーだったのかもしれない。
ドイツ鉄道予約時のやり取り
今回は予約段階から少々手間がかかった。
フランクフルトでオペラ公演が無い日にどこに行こうか。Googleマップ上で探した中で心惹かれたのはフランスのストラスブール。アクセス方法を調べたら電車で2時間ぐらい。ちょうど良い小旅行先だ。
鉄道は事前に日本から自分で手配。その段階でようやく気が付いたのだが、フランクフルトとストラスブールを1本で結ぶ電車はなかった。途中駅で1度乗り換える。複数の選択肢があったが、カールスルーエで乗り換えるプランにした。ドイツ鉄道のサイトが表示した乗り継ぎ電車より遅めの電車を選んだ。行きはカールスルーエでの待ち時間20分、帰りは1時間にした。
手配を完了したところで、行きの待ち時間は短すぎるのではと不安になった。変更可能なプランにしておいたが、変更手数料を取られる。上手く乗り継げるように願うしかない。念のため、遅延した場合の対応を調べておいた。
もう一つ不安材料があった。1等席を買ったのだが、1等席は座席指定の料金も込みだと書いてあったと思うのだが、なぜかフランクフルトとカールスルーエ間の座席が指定できていない。カールスルーエとストラスブール間のみ席が指定されている。購入時に「一時的に座席指定不可」とあったので、しばらく待てば、何かしらの連絡があるのだろうと持っていたが、何もなかった。改めて座席を指定しようとすると、そもそも私が乗る予定の電車が見当たらない。代わりに同じ便名で数分違う電車がある。座席指定を試みると、改めて指定料金を払うようだ。乗車券に含まれているのではなかったのか?
疑問点についてドイツ鉄道にメールで問い合わせた。1回目は無視されてしまった。現地到着後にフランクフルト中央駅で直接聞けばいいやと思ったのだが、中央駅は混雑していると思われ、面倒だ。もう1度メールを送った。今度は丁寧な回答が届いた。
1等席の乗車券に座席指定が付いてくるのは、座席指定が必須であるフランスを含む区間のみとのこと。ドイツ国内では一等席は座席指定しなくても空いている席に座れば良い。指定したいなら改めて座席指定料金を払う。(乗車券と同時に座席指定もできるのだが、私が買ったときは「一時的に座席指定不可」だった。)私が乗る電車は私の認識の通り、フランクフルト出発時間が数分変更となっているが、それだけでなく、出発駅もフランクフルト中央駅からフランクフルト南駅に変更になっているとのこと。
問い合わせて良かった。出発駅が変更になっているのに、オンラインで乗車券を購入した人に何も連絡がないとは。メールに回答してもらえなかったら、私は間違いなく中央駅に向かっただろう。そこで出発駅が南駅に変更になっていることを知って、慌てて南駅に向かい、ギリギリで乗車あるいは乗り遅れとなった可能性が高い。
ドイツ鉄道の予約サイトには座席の混み具合も確認できる。乗る予定の車両は「中程度」の混み具合とのことだったので、念のため座席指定した。
ドイツ鉄道遅延・・・結局どうやってストラスブールに辿り着いたか
旅先で、次の目的地へ移動する日は朝から落ち着かない。数日滞在したホテルはすでに自分の部屋のような感覚になっている。自分の家から離れるのは不安だ。外は地面にうっすら雪。寒い。無事目的地まで着けるのか。とはいえ、準備は万端。事前に手配すべきもの、知っておくべき情報はすべて網羅済み。きっと大丈夫。そう思ってホテルを出たはずだった。
さて、電車が大幅に遅延したので、乗り継ぎは不可能となった。
アナウンスには続きがあった。
「カールスルーエで乗り換えてパリに向かう予定だった人は、このまま、この電車に乗ってオッフェンブルクで降りてください。そこからローカル電車でストラスブールに行けばパリ行きの電車に乗れます。」
私の目的地はパリではないが、ストラスブールに行くのだから、私もそのアナウンスに従えば良さそうだ。そのまま温かい車内でくつろぎながらオッフェンブルクまで行った。
オッフェンブルク駅で、ストラスブール行きのローカル電車が来るまで30分待った。やってきた電車を見て、プラットフォームにいた旅人たちは一気に凍り付いた。電車は2両編成の小さなローカル電車だった!
まさかドイツ・フランスで、東京のラッシュアワーのような激混み電車に遭遇するとは。混雑する電車が珍しいのか、記念撮影をする人もいた。ギュウギュウ詰めでドミノ倒しにならないか心配だ。フランクフルトのホテルにスーツケースを預けて少ない荷物で来たのが幸いだった。車内は学校帰りの子供たちを含む地元民とパリ方面へ向かう旅行者でごった返す。交通機関でマスク着用義務があるドイツを出発する電車なので9割以上がマスク着用。マスク嫌いの私ではあるが、さすがにこの状況ではマスク姿が多くて良かった。
ローカル電車は各駅に停車しながら進む。数人降りたと思えば、十数人あらたに乗り込んできたり、駅に到着するたびに乗客のわざとらしい大きなため息が聞こえる。幸い、発狂して周囲に当たる人はいなかった。仕方ないね、と穏やかに耐える。倒れそうになった人を支えてあげたりしながら、みんな一丸となってストラスブールまでひたすら耐えた。30分程度だったかもしれないが、もっと長かったような気がする。
予定より2時間以上遅れてストラスブールに到着となった。2時間というのは、トラブルのわりには悪くないのだろう。それでもヘトヘトだった。
ちなみにフランクフルトからストラスブールへは格安バスも出ている。こちらも遅延や欠航が多いと聞くが、またの機会に試してみるといいかもしれない。来るか来ないかわからないバスを雪が降る外で待つのは避けたいところだが、鉄道駅から発着するバスの場合は、駅の発着時刻・遅延状況一覧デジタルボードに載っていることもあるので、外で待つ必要はないようだ。
鉄道でストラスブールからフランクフルトに戻る
2泊の滞在を終えてストラスブールからフランクフルトへ戻ったときは、特に何事もなくスムーズに進んだ。
写真を4枚をご覧ください。ストラスブール駅は赤い柵がお洒落。それから、往路では下車とならなかったカールスルーエ駅。写真にも写っている楽器を背負ったミュージシャンたちと同じ車両だった。座席指定を見ると彼らの行先はハンブルク。エルプフィルで演奏するのだろうか?
返金は諦めることにした
ドイツ鉄道では遅延した場合に返金を受けることができる。
帰国後にオンラインで申請しようと思ったのだが、「1時間以上2時間未満」の場合は25%が返金されるとなっていた。往復チケットの場合は、当然その半分(片道分)のうちの25%である。あまり大した額は戻って来なさそうだ。
問い合わせの面倒さを考え、返金は諦めることにした。追加料金を払わずにオッフェンブルクまで電車に乗ったので良しとしよう。ルール通りにオッフェンブルクからストラスブールの乗車券を買ったのだが、これも状況を考えると買う必要なかったのかもしれない。(あの混雑した車両で係員がチェックするとは思えないのだから。)オッフェンブルクで降りた人たちの中でチケット販売機に向かった人は少数だったので、買わずに乗車した人も多かったのではと思う。(スマホ等でオンライン購入可能なのでスマホで購入したのかもしれない。)